行政書士試験の受験生の皆様、11月の行政書士試験の受験おつかれさまでした!今年は特に新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、受講にも影響があったり、いつもとは違う受験会場であったり、本当に大変な受験であったかと思います。おつかれさまでした!!
解答速報や記述式採点予想サービスなど、受験予備校のイベントが目白押しでにぎやかな時期ですね。中には、記述式の採点を待たずに合格を確信されている方もいらっしゃるかもしれません。
行政書士として開業を目指そうか、さらに次の資格を目指そうか、などいろいろ考える時期かと思います。行政書士試験に合格したら、特定行政書士にも興味がある方がいらっしゃるかもしれません。
そこで、行政書士試験を終えた方向けに「特定行政書士」について記事にしたいと思います。
ちょっと長くなりそうなので結論を先に書いてしまいますと、
行政法のテキストは残しておいた方がいいよ!!!
特定行政書士って?
特定行政書士は、『行政書士が作成した』官公署に提出する書類に係る許認可等に関する行政庁への不服申立て手続きの代理業務が行えます。
『行政書士が作成した』という部分ですが、行政書士がまったく関与していない許認可申請の不服申し立てには代理権がないということで、代理権の範囲が狭いのが気になるところです。
しかし、特定行政書士法定研修や考査を通して、行政法のより深い知識や不服申し立ての知識が身につき、行政書士として許認可申請のときのやり取りや文書作成に有利になると感じています。
なお、特定行政書士法定研修は、行政書士として登録した者が受けることが出来ます。行政書士試験に合格したのみで登録がまだの方は受けることが出来ません。
特定行政書士法定研修のスケジュール
令和2年度の特定行政書士法定研修のスケジュールは以下のとおりでした。
・申込時期
4月1日~6月19日
・法定研修講義
7月~9月頃の期間(所属単位会によりスケジュールが違います)
・考査
2020年10月18日(日)14:00~16:00
全18時間の講義を期間内にすべて受講することが、考査の受験資格となります。
なお、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、例年は法定研修が会場受講だったところ今年はwebでのビデオ受講が取り入れられました。筆者の単位会では、初回講義のみ会場受講で、残り17時間はweb受講でした。
講義はオンラインでしたが、10月の考査は例年通り各単位会ごとに会場で行われました。参考資料など持ち込み不可の4択マークテストになります。
特定行政書士法定研修のテキストと講義内容
これが令和2年度の特定行政書士法定研修テキストです。テキスト代は受講料に含まれていて初回に配布されます。
大きい法定研修テキストがメインテキストで、講義はメインテキストを中心に利用します。サブテキストとして『行政書士のための行政法』『行政書士のための要件事実の基礎』もあります。
考査では3冊からまんべんなく出題されている印象があります。
特定行政書士考査は合格率が毎年7割程度で、現役の行政書士の先生でも3割くらい落ちてしまう試験とのことで、見出しを付けたり付箋をはったりとなかなかガチ目に挑んでおります。
令和2年度の講義内容と時間は以下のとおりでした。
- 行政法総論 1時間(1コマ)
- 行政手続制度概説 1時間(1コマ)
- 行政手続法の論点 2時間(2コマ)
- 行政不服審査制度概説 2時間(2コマ)
- 行政不服審査法の論点 2時間(2コマ)
- 行政事件訴訟法の論点 2時間(2コマ)
- 要件事実・事実認定論 4時間(4コマ)
- 特定行政書士の倫理 2時間(2コマ)
- 総まとめ 2時間(2コマ)
1~6は行政書士試験でもおなじみの行政法ですね。行政書士試験の知識がばっちり残っている早めの時期に特定行政書士考査を受けてしまった方が有利と言われています。
あれれ?行政法のテキストが配布されるのなら、べつに行政書士試験のときのテキストとか処分しちゃってもいいきがするよ~?
考査の問題も配布のテキストからでるんでしょ~?
新しく配布されたテキストでも、もちろん考査の対策はできるよ!
でも、がっつり行政書士試験をそいとげたみっちり使い込んだテキストや問題集のほうが年季が入っていて、行政法の知識を試験レベルに戻しやすい気がするよ☆ミ
考査問題はマーク式4択問題が全30問で、行政法分野は20問でした。行政法は行政書士試験と近い難度の問題が出題されます。行政書士試験直前期の実力がほしい考査ですので、使い慣れたテキストを補助教材とするのをオススメします!
行政書士試験時代のテキストで役に立ったのはこれ!
筆者は合格した年度はアガルートアカデミー行政書士講座を受講していましたが、試験勉強初年度の書籍で独学していたときから一般の書籍も並行して利用していました。
試験範囲の網羅した講義とテキストはアガルートの講座がすばらしかったです。でも、いつでもどこでも勉強できるような持ち運びや取扱や見やすさの点では市販の書籍がいいな、ということで、アガルートの講義テキストの要点と市販の書籍とをリンクさせて勉強していました。
ということで、特定考査でも役に立ちましたのは、行政書士試験受験で合格した年の最後の詰め込みグッズからこの2冊!
左:うかる!行政書士総合テキスト別冊付録の「ハンディ行政書士試験六法」
右:出る順行政書士 重要事項総まとめ(現在の最重要論点250)
総まとめ本は当時から愛用していてカバーかけて愛でております♡
↓当時のログ
ハンディ行政書士試験六法
特定行政書士考査でも行政法分野は条文知識を問う問題があります。マークやメモが書き込まれた使い慣れた付録の「ハンディ六法」は行政書士試験から引き続き特定考査でも使えます!
豊村先生のクラスでは、条文をプリンターで印刷したものを推奨していましたが、アガルート受講前に使っていた付録のハンディ六法の方が紙質や持ち運びやすさや書き込みしやすさでいいなーっと私は市販書籍の付録のものを継続使用していました。
なお、特定考査のテキストにも行政法の条文が収録されています。
でも、行政書士試験受験時代にごりごりに使い込んだ六法があるなら残しておいて、特定考査勉強に再利用するのオススメです!
出る順行政書士 重要事項総まとめ
重要事項総まとめ本は、行政法主要3法で似たような条文の比較や要点などぎゅっとコンパクトにまとまっていて、知識を整理するのに役に立ちました。写真は訴訟類型覚えるのが苦手だったなあと見直していたページで、出ない?と思いきや特定考査で出題されまして。直前に見ててよかったー!
合格年度はLECの出る順総まとめ本を利用していましたが、その前の年はTACの最重要論点150を利用していましたし、伊藤塾の必修項目115も魅力的でした。似てるようで間違えやすい知識が整理されたまとめ本が個人的には好みですので、これから行政書士試験を受験される方にもお勧めしたいと思います。毎年5月頃発行されています。
番外:行政書士試験の過去問題集も使えます
筆者は行政書士試験の問題集を特定考査対策では使っていませんでしたが、行政書士試験の行政法の問題と近いので、問題集を買いなおしたりする行政書士の先生もいらっしゃいました。
問題集に学習したことを書き込んで使い込んでいたタイプの方は、特定考査用に問題集を残して置くとよいかと思います。
わたくし過去問学習で落ち込むタイプでしたので…一応行政書士試験過去問残してましたが、再活用はしない種族でした…(下記事参照)
特定行政書士考査の過去問は公開されていませんが、過去に考査を受けた先生からのご好意で見せてもらえたりします。行政書士試験同様、過去問を押さえるのが合格のコツです。特定考査の過去問が手に入らなくても行政書士試験と近い問題ですので、行政法の過去問学習は有効です。
行政書士試験の行政法の教材は残しておくのがオススメ!
筆者はまとめ本を活用する勉強法でしたが、行政書士試験の行政法メインテキストにすべて集約されている方でしたら、もちろんその行政法メインテキストが特定考査でも活用できるかと思います。
行政法を学習するときに使い込んだ、テキスト・問題集・まとめ本など、特定考査で大活躍するかと思いますので、処分せずに手元に残しておくのをおススメします!
特定行政書士考査対策本
最後におすすめの対策本を紹介します。
特定考査の行政法分野は行政書士試験のときの行政法の教材が大活躍でしたが、要件事実・事実認定論の分野は行政書士試験とは関係ない分野で、学習をしたことがなかった者としてはとっつきにくさがありました。
合格対策本とあわせて研修テキスト「行政書士のための要件事実の基礎」を読むと、初めての分野でもわかりやすかったように思います。
考査の過去の問題そのものは載っていませんが、どのような問題で法令等と対応する箇所が掲載されており、また練習問題や模擬問題が載っていたりと、特定行政書士考査対策にとても参考になりました。